Pneuma

遠藤文香 Ayaka Endo Pneuma

遠藤 文香
『Pneuma』

11月14日(土)より遠藤文香による新刊写真集「Pneuma(プネウマ)』(roshin Booksf)の出版を記念し、写真展を開催いたします。
東京、ロンドン、福岡に続き名古屋では初開催となります。

日程:
2026年11月14日(土)~ 2026年12月5日(日)
13:00 – 18:00

休廊日:
火曜・木曜

会場:
C7C gallery and shop

入場料:
無料


岩手県遠野にあるその高原は、地上と空の間、この世とあの世のはざまに浮かんでいるような、どこか不思議な場所だっ た。空気の厚みか光のせいか、時間が止まったように感じられ、生と死や自然と人間といったあらゆる境界がゆるやか に溶け合い、馬も土地も光も風も、全てがひとつの大きなかたまりになって深い呼吸をしているようだった。

遠藤文香 Ayaka Endo Pneuma

夏の間だけこの高原に放牧された馬たちは、お互いの身体言語や気配に応答しながら群れをなし、優雅に長い尾を揺さぶりながら草原を駆け回っている。手綱も蹄鉄もつけず自由を与えられた本来の馬は、想像していたよりもずっと伸び伸びしていて、それぞれが圧倒的な生命力をもった光の粒のようにその土地を満たしていた。

遠藤文香 Ayaka Endo Pneuma

怖がらないで、と、そっと彼らに近づくとき、私と馬とのあいだで、呼吸のリズムや気配、皮膚感覚、空間のわずか な揺らぎのような、言語以前の感覚が徐々に立ち現れてくるのを感じた。身体の感覚と意識がじわじわと空間に拡張さ れていき、呼吸に呼応するようにシャッターを切っていく。それは繊細でありながら、同時にとても野生的な交流だった。

遠藤文香 Ayaka Endo Pneuma

撮影しながら、時々ふと身体と世界とのあいだの境界が曖昧になる瞬間がある。主体と対象という関係が緩み、私が私であることも、馬が馬であることも忘れさせてくれるような気がした。それはまだ世界が意味や象徴として言葉にされる前の、ごく身体的で曖昧な感覚であり、どこか救いに近い静かな安堵でもある。この瞬間、私にとって写真を撮るという行為は、そんな感覚に触れるための手段だったように思う。

遠藤文香 Ayaka Endo Pneuma

Pneuma ( プネウマ ) という言葉は、古代ギリシア語で「息」や「風」、そして「魂」を同時に意味している。つまり それは、肉体と精神を繋ぎ、生と死をまたぎ、個の内側と外側の世界を往復する目に見えない運動でもある。私があの 草原で触れた感覚もまた、身体と世界のあいだで立ち上がる微かなリズムだった。それは、私たちをより大きな生命の 循環へと開きながら、世界とふたたび接続されるための、静かな呼吸だったのかもしれない。

遠藤 文香

遠藤文香 Ayaka Endo Pneuma

【遠藤 文香 – Pneuma】

遠藤文香 Ayaka Endo Pneuma
遠藤文香 Ayaka Endo Pneuma

発行:roshin books 2026
(@roshinbooks)

Photograph&Text:遠藤文香
Japanese and English
Book design:藤田裕美
289mm x 213mm x 8mm


【プロフィール】

遠藤 文香
Instagram:@e__n__d__

1994年生まれ。
2018年、東京藝術大学美術学部デザイン料卒業、2021年に同大学院修了。修了後は東京を拠点に写真家として活動し、作品を発表する。

現在はロンドン在住。主に動物や自然を対象とし、それらと人間とのあいだに古くから培われてきた感覚や秩序に関心を寄せながら制作を行っている。


【C7C cafe and sweets】

c7c cafe & sweets

展示期間中
2026.11.14(土)~ 12.5(日)
 はOPEN。

定休日:
火、木曜日